エンジン不調とその修理


 僕のアウトレージ19のエンジンはヤマハ2ストHPDIの200馬力が載っています。
 2ストのパワーとインジェクションの低燃費を兼ね備えていると言えば聞こえが良いですが、2ストから4ストへ移り変わっていくなかでの過渡期の製品でもあります。
 (ちなみにオーバーパワーにつき、船検は回転制限付)



 オーバーパワーで、どうも走りはバランスが悪い感じがします。



 そんなエンジンですが、あるときエンジンの回転が2000回転位までしか上がらなくなる現象が起こりました。以前から全開走行をしようとすると息継ぎをするような現象があり気にしていましたが、通常使用する回転数では問題ないので、様子を見ていましたが、やはりどこか悪いようです。

 まずは自分でプラグを交換してみましたが改善せず。
 次はプロに船外機の燃料系をバラしてもらうと、高圧のフィルター(ストレーナー)から、ゴミが沢山出てきたとのこと。



 ストレーナーはベーパーセパレータの先にあります。



 燃料タンクと船外機の間に設置されている燃料フィルターを自分で外してみたらゴミがたっぷり!
 とりあえずYSギアの大型燃料フィルターに交換です。

 フィルターでゴミが沢山ということはタンク内が汚れていると思われたので、タンク内を掃除したいところですが、このボートの燃料タンクは床下に埋め込まれており、取り外すのはかなり大掛かりな工事になります。仕方ないので、燃料計センサーの穴(直径5cm位)と、燃料吸い出しパイプの穴(直径2cm位)を使って掃除することにしました。



 燃料計センサーの穴





 燃料吸い出しパイプの穴



 灯油ポンプを使用してタンク底の燃料を吸い出し、コーヒーの紙フィルターで濾して戻す作業をしてみると、ゴミが大量にとれましたが、このゴミが土っぽい感じ。色々調べた結果、一昔前に市販されていた錠剤型の燃料添加剤ではないかと思われます。GIGASマルチパワータブレット(soft99コーポレーション)という商品で、タンク内の土みたいなゴミと色がそっくりなんです。過去のオーナーが燃費改善のために投入したのでしょうか? ちなみにこの商品は公正取引委員会から排除命令を受けて販売中止になったようです。



 タンクの後ろの燃料を吸って灯油ポンプで送り、前の方からタンクへ戻します。




 タンクへ燃料を戻す手前で、コーヒーフィルタを使って燃料を濾しました。





 出てきたごみ。
 (茶色で土っぽい)
 写真では少しだけですが、これが大量に出てきました。


 ここまでしてもエンジンの状態は改善しないので、思い切ってタンクの水洗いをすることに。
 タンク内に手が入らないので、高圧洗浄機のノズルを入れてみたり、水道ホースにアルミパイプを連結させ、そのパイプをタンク内へ入れて水を出してみたり、色々な方法でタンク内を水洗い。
 タンク内の水の除去は、針金の先ににウエスを付けて拭き拭き。最後は布団乾燥機の熱風をタンク内に送り込んで乾かしてみました(効果不明)
 さらにもう一度、プロに船外機の燃料系統をバラしてもらい徹底的にキレイな状態にしました。
 やるぺき事はやって試運転をしてみましたが、治っていません。

 頭を悩ませながら、ふと船外機の燃料フィルターを外してみると、水滴らしきものが付いています。


 右は新品のフィルター。左の使用していたフィルターには水滴がついています。


 この水滴を取り除いて試運転してみたところ、症状が改善!
 フィルターに水が張り付いて燃料が通過できなかったのでしょうか?
 水分はタンク内の水洗いに原因があるのかもしれませんが、それにしても水分はYSギアの大型燃料フィルターの底に溜まるハズですが、確認してみても水は溜まっていませんでした。大型の船外機だと燃料の流速が早すぎて水がすり抜けてしまうのでしょうか?

 結果的に原因は
 1.燃料添加剤のカスのつまり
 2.燃料系への水分の混入
 が原因だったようです。

 しばらくの間、頭を悩ませていましたが、解決しましたので、めでたしめでたし。

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